冷凍ごはんで血糖値コントロール！冷ましてレジスタントスターチを増やせ

お米は日本の食卓に欠かせない主食ですが、糖質制限ダイエットの流行もあってダイエット中は避けがちになることもあると思います。特に、血糖値が急激に上がることを気にする方も多いのではないでしょうか。

こちらの記事でも紹介しているとおり、血糖値の急上昇を抑えることがダイエットや健康のために重要です。血糖値をコントロールすればダイエット中でも食べても全く問題ありません。白米は血糖値が上がりやすい比較的高GIな食材ですが、冷凍することで、レジスタントスターチ（難消化性デンプン）が増加し、血糖値の上昇を抑える効果が期待できます。この記事ではレジスタントスターチの働きとごはんを冷ますとレジスタントスターチが増える仕組みを紹介します。

レジスタントスターチとは？

まず、レジスタントスターチ（難消化性デンプン）について説明します。通常、炭水化物（糖質）は体内で分解されて糖に変わり、エネルギー源として使われます。しかし、レジスタントスターチは体内で消化されない（レジスタント）デンプン（スターチ）という意味で、食物繊維と同様に働きます。

通常、食事から摂取したデンプンは小腸で消化吸収され糖となって肝臓や筋肉で使われます。しかしレジスタントスターチは、小腸で消化されず、大腸まで届く難消化性のものです。

レジスタントスターチの働き

レジスタントスターチには血糖値の上昇抑制、腸内環境の改善、血中コレステロールの上昇抑制、空腹感の抑制など、様々な健康効果が期待できます。「食後の血糖値の上昇がおだやかにする」や，「食生活で不足しがちな食物繊維を手軽にとって便秘気味の方のお通じの改善に役立つ。お腹の調子を整
えたい方に」との表示が許可された特定保健用食品もあります。

加熱したデンプンが冷えてレジスタントスターチになる

レジスタントスターチには以下の表のように4種類あります。

タイプ	特徴	食品例
1	デンプンが細胞壁に包まれていて物理的に消化されにくい構造のデンプン	全粒穀物、精製度の低い穀物、デンプン密度の高い食品（パスタなど）
2	アミロース含量が多く、消化酵素に抵抗性をもつ	グリーンバナナ、生ジャガイモ、高アミロース米、高アミローストウモロコシ
3	加熱したデンプンが冷えたもの	冷えたごはんなど
4	科学的に加工されたもの	加工食品（スナック菓子、パン、冷凍食品、麺類、タレ、ドッレシングなど）

デンプンは「アミロース」と「アミロペクチン」に分けることができます。アミロペクチンは表面積が広く消化酵素が働きやすくなっています。なのでアミロース含量が多い方が消化酵素が働きにくくなります。お米を炊いた後に冷えてできるのはタイプ3のレジスタントスターチです。デンプンが冷えるとアミロースが再結晶化したり、デンプンが老化したりして消化酵素が作用しにくくなり、GI値が低くなります。GI値（グリセミックインデックス）とは食品を食べた後に血糖値がどのくらい上がるかを示す指標で、低い方が血糖値が上がりにくく健康やダイエットに望ましいです。

ごはんを冷凍後レンジで再加熱してもレジスタントスターチは増える？

驚くべきことに、お米を炊いて冷凍後、レンジで加熱し直してもレジスタントスターチが増えることが研究で明らかになっています。「タイプ3のデンプンは冷ますことでレジスタントスターチが増えるので、再加熱すると元に戻るのでは？」と思ってしまったのですが、もとに戻らずレジスタントスターチが増えた状態のままになるとのことです。これはお米を炊いた後一旦冷凍しておくしかないですね。

おまけ：お米の冷凍保存方法

炊いたお米をラップで冷凍保存する際は写真のように、円形で平らにして、真ん中に穴をあけるとレンジで再加熱した際に加熱ムラがなく美味しく食べることができます。ドーナツを潰したような形です。ぜひお試しください。

まとめ

お米に限らず、イモも加熱後冷ますことでレジスタントスターチが増えます。ダイエットの際はデンプンは冷ましてから食べるのがお勧めです。ただし、いくらでも食べていいわけではないのであくまでも食べ過ぎには注意して「冷ました方が少しダイエットにいいらしい」くらいの感覚で参考にしてみて下さい。

参考：筋肉をつくる食事・栄養パーフェクト事典（岡田隆、竹並恵里監修）
　　　効率よく筋肉をつけるための山本式・アスリート栄養学 上巻（山本義徳 著）
　　　レジスタントスターチは冷ますと増えてレンジで減らない（笠岡誠一 文教大ほか）
　　　レジスタントスターチの栄養・生理機能（海老原清）